Blue house / Blue office
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既存と改修の境界を均す
人口16万人の地方都市の駅前に建つ歯科医院兼用住宅を、事務所兼用住宅にコンバージョンした。
既存の建物は、築40年ほどの鉄筋コンクリート造で、図面は残っていなかったが地元の建築家が設計したらしかった。ここでは実測し、図面化する中で、原設計者の意図を明らかにし、その意思を引き継いていくような方向で設計を進めた。例えばシンメトリーが一部崩れた部分をシンメトリーに改修したり、内外に仕上げが連続するような表現を引き継いて、外部の青い塗装を内部にも展開したり。既存と改修を相対化する方法ではなく、改修部分を既存に合わせた仕上げにしたり、逆に既存を改修部分に合わせて手を加えたりといった、ひとつひとつは取るに足らないようなわずかな操作を、部分ごとにそれが自然だと思える状態になるまでスタディし、決定することを続けていった。すると、ある時点からどれが原設計者のデザインでどれが我々のデザインなのか、どこからが既存でどこからが改修なのが、その境界が曖昧になっていくような状態が生まれはじめた。
それは時間や新旧設計者の意図を超えて、ここにしかない空間の質が生まれた瞬間だった。
用途 | 事務所兼用住宅 |
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所在地 | 静岡県磐田市 |
構造 | 鉄筋コンクリート造 |
敷地面積 | 103.26㎡ |
建築面積 | 67.32㎡ |
延床面積 | 129.28㎡ |
設計期間 | 2019.12-2021.2 |
工期 | 2021.3-2021.7 |
構造設計 | OAK plus 足立徹郎(一部家具) |
賞歴 | 第36回日本建築学会東海賞 FRAME AWARDS 2022 |
写真 | 長谷川健太(*は後藤周平建築設計事務所) |
担当スタッフ | 小田海、清水美紅、後藤つかさ |